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2014/06/21

なんにもない

 きょう、ふいに思ったのだけれど、わたしの強みってなんだろうと。

 あたまは決して良くないし、肩書も地位もないし、持ち家も財産も車も、なんにも持ちあわせがない。
 ふつうだったら、完全に負け組だと思い、落ち込むような要素ばかりなのだが。

 あまのじゃくのせいかどうかも、じぶんながらよくわからないが、わたしの強み、それは「なんにもない」ことではないかと。
 幸い、仕事もあるし、友だちもむかしよりは増えているし、本もそこそこ持ってはいるし、ほかに趣味がないわけではない。
 けれども、なんといったらいいのか、わたしはからっぽなのだろう。
 以前、徒手空拳で、ということも書いたけれど、意味合いとしてはそれと似ているだろうか。

 詩を書くうえで、だいじなことというのをむかしの『詩学』誌上のコラムでよんだ記憶があるけれど、そこには「定住」は創作の敵、妨げになる、といった意味のことが書かれていた。
 詩をかいているだけで幸せな人こそ、詩人なんじゃないか、みたいなことも。

 まっさらなノートを前にして、無為の心境で、思いついたこと、かきたいことを綴っていく幸せ。
 それには、括弧つきの「思想」もいらないんじゃないかと言ったら、角が立つだろうか。
 なにか立派そうなことを、小難しく表現して煙に巻くような、そんな詩は、わたしは敬遠してしまう。
 もっとからっぽなことを、日常の言語とはちょっと位相のちがう言葉で書き記すのが、わたしにとっての詩作の姿勢なのである。

 

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